243南アルプス南部主脈縦走

南アルプス南部主脈縦走~その26

一時間もかからずに、三吉平の暗い樹林に着いた。
結構なハイペースに体が重くなっていく。
易老岳の登りはきつかった。




易老岳。
易老渡への分岐になっている事もあり、ここだけは人が多い。
頂上は分岐ではなく、ちょっと奥に入ったところにある。
円形の広場になっていて、かすかに易老岳と読み取れる看板があった。
分岐では、小汚い格好をした若い男がむしゃくしゃしたような態度を示していた。
その気持わかりますよ~。私もよれよれの格好ですぐにでも風呂に入りたい。




ここからの下りは、長かった山行の最後の道程である。
山の雰囲気が名残惜しくて、ゆっくり歩きたかったが、
タクシーを呼んであるのでそうもいかない。
展望のきかない樹林の急斜面を、ひたすら下った。




森林の中、1人で休憩して最後の静けさにひたる。
この後、面平から下は更に急な道だった。
最後の最後で足がふらついてきた。
易老渡は、こんなところによくも道を作ったものだと驚くような峻険な谷あいにあった。
どこまでも緑で覆い尽くされた谷をタクシーで走っていると、一週間の思い出がよみがえってきた。




神楽の湯で思う存分体を洗い、木曾谷・飯田線の平岡駅に着いた。

山行中は結構うんざりしていたが、今から思うとこの時のがんばりはその後に生かされていると思う。山旅をすると、ちょっとビシッとできるのだ。
山中で出会った色々な人たちが、その後も山登りを楽しんでおりますよう、祈っています。


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南アルプス南部主脈縦走~その25

老人が、さあ行こう、と言う。タクシーは既に呼んであるそうだ。
10:30、小屋を出発。
しかし歩いて間もなく、足がつってしまった。
普段のペースより早く歩いていたのが悪かったらしい。
約束の15:30に易老渡に降りるのは無理と考え、老人に謝って下山するのは中止した。
小屋に戻った。
食事は50歳以上にしか出さないという、珍しい小屋である。
粗末な小屋かと思ったら、今まで泊まった小屋の中で一番しっかりとした造りの、大きな小屋だった。




小屋番の女性は親切で、明日のタクシーの人数をまとめてくれた。
水場はかなり遠く、大変な急坂であった。
東北から来たS氏と小屋の外で自炊しながら、この小屋の方針について話した。
しっかりした造りのせいか、寝床は快適だった。




8月26日。
ようやく念願の下山日がやってきた。
見事な日の出。南アルプスから見る富士山もこれが最後だ。
今日は11:00までに易老渡に着かなくてはならず、気が抜けない。




薄暗い朝焼けの中、他の人に先行して小屋を出る。
水場で水を補給する。




後から来たS氏は猛スピードで、とても付いていけない。
タクシーに相乗りする、退職後の悠悠自適の登山を楽しむK氏と降りる。
涸れ沢は昨日と同様静かなたたずまいで、地面の岩や石は足に堪える。




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南アルプス南部主脈縦走~その24

老人はどんどん先に歩いて行ってしまった。
センジガ原への登り道。
岩だらけの涸れ沢はどこまで登っても先が見えない。
薄暗く、他に人もおらず、寂しい限りだ。




センジガ原直前の水場にはトリカブトが密生していて躊躇する。




センジガ原。
二重山稜の間の木道と、その先の小屋、後ろには光岳山頂部。
やっと見えた!嬉しい。




光小屋。
老人は驚くべき速さで小屋に着いていた。
頂上は林の中。




近くの展望台に行ったが、ガスっていて景色はよく見えなかった。
光石まで行けばよかったが・・・。


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南アルプス南部主脈縦走~その23

茶臼岳を下ってもと来た道を戻る。
茶臼小屋への分岐から下ると間もなく茶臼小屋が見えた。
小屋の主人は、優しそうで人懐こく多弁。私が抱いている山小屋の主人のイメージと大きく違うので驚いた。
時間を見るとまだ10:30。ここから6時間下ればバス停のある畑薙ダムに着く。
はっきり言って下山して一風呂浴びてさっぱりしたいという気持と、光岳までの縦走を完遂したいという気持が火花を散らしている。
考えをまとめる為に情報収集。
まず、畑薙ダムに着いたとして静岡行きのバスに間に合わない場合椹島ロッジへの交通機関はあるのか?小屋ではわからないので携帯をかけたが電波が届かず。
更に、光岳に行ったとして下山口である易老渡へのタクシーを光小屋から電話で呼べるか?茶臼小屋では無理ではないかとの答えだった。
畑薙ダムに下るにも光岳に向うにも否定的な状況で、畑薙ダムに下るのをやめとりあえず茶臼小屋に泊まる。光岳行きは明日考える事にした。
私が迷っている間、小屋の主人は「光に行きたいんだろ?」と盛んに言い、今日2人の男が光岳を往復している、と言った。話を聞いていると、その2人は百間洞山の家で隣に寝ていたパワフルじいさんと神経質そうな長身の男らしいとわかった。
そうこうしているうちに、パワフルじいさんは茶臼小屋に戻ってきてそのまま畑薙ダムに下山、家に戻らず屋久島登山に向うとの事。コースタイムは16時間を超えるだろう。とても真似できない。南アルプスは超人が集まる所なのだ。ミーハー登山者で北アルプス好きの私は恐れ入るばかり。小屋の主人も興奮気味だった。




長身の男が戻ってきた。
日焼けしてすっかり印象が変わっていた。
小屋の食事はおいしかったが、長旅の疲労からか食欲なし。




8月25日。七日目。
長身の男の「(光岳まで)頑張ってください」との励ましに、光岳行きを決めた。タクシーを呼べなければここに戻って畑薙ダムに下ればいいだろう。
分岐までの斜面を登りはじめる。
体が重くてつらい。
稜線に着くと、聖平小屋で怖そうな顔をしていた老人がいた。
お互い追い越し追い越され、その度にあいさつをしながら進んだ。
途中仁田池に寄る。




仁田岳を眺める。




針葉樹林とシダの道が続く。
薄暗くて展望がきかない。
老人は、そんなに早く歩いてどうするんだ、とつぶやいていた。
易老岳頂上。
光小屋から来た60代の男女のパーティーと会う。
光岳に登った喜びにあふれており、私も一緒に祝った。
ここから易老渡に降りて帰るとの事だが、タクシーは光小屋で呼んだそうだ。
これで明日は易老渡に下山できそうである。
やがて老人が提案してきた。
このままだと光小屋に早く着くので、往復して今日中に易老渡に降りないかと。
私は迷ったが同意した。
三吉平。
茶臼小屋のバイト?の少年が鼻歌を歌いながら目の前を駆け抜けていった。


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南アルプス南部主脈縦走~その22

門を抜けると彼方に二重山稜の間の亀甲状土の草原が見える。




地面が所々亀甲の形に盛り上がっている。
振り返ると上河内岳が綺麗だ。




穏やかな光景が美しい場所だ。




草原を通過するとザレの斜面。
ひとりふらふらと歩く。
前方に茶臼岳。今までの山に比べて山容もだいぶ小ぶりになってきた。
茶臼小屋が近い。




当初の予定では明日通過するので、今日登るかどうか迷ったが登る事にした。
というのは、光岳に行かずにこのまま下山しようかと考え始めたからだ。
眼下に、先程歩いたザレの斜面。




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南アルプス南部主脈縦走~その21

ハイマツの道を登り切ると明るい稜線に出る。
上河内岳が見えてきた。




二重稜線の間の窪地に入る。
山頂は間近。




山頂に着いた。
何だかよくわからないが結構疲れた。
三千メートル級の山は聖岳までで、これ以降は標高を下げていく。




昨日歩いた聖岳~聖平小屋~上河内岳頂上のルートが良く見える。
道をなぞりながら、歩いた時の思い出に浸る。
通常のサイズに伸ばしてください。




頂上を去り南下する。
竹内門。
出口なのか入口なのか?
魔界に入っていくような不気味さを覚える。


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南アルプス南部主脈縦走~その20

聖平。
倒木が死体のようで不気味だ。




聖平小屋にやっと着いた。
思ったよりも早く、昼前に着いた。
今朝の体調の悪さを考えると夢のようである。
ふと、後から来た見知らぬ老人が怖そうな表情でこちらを見ているような気がした。
2時間程たって、千枚岳で知り合った老人三人連れがやってきた。
私の事を登山初心者だと思っていたらしく、「とうとう本性を現したな」と言われてしまった。
小屋のトイレから眺める聖岳の麓は、無数の針葉樹林に覆われていて、聖岳の名前にふさわしい荘厳さだ。




8月24日。
入山して六日目。
昨日ほどではないが、やはりめまいがする。
今日は上河内岳を越えて茶臼小屋に行く。
コースタイムが短いので気合も入らない。
さすがに六日も山の中にいるとストレスも溜まっているようだ。




上河内岳の登りの途中、後ろを振り返ると昨日歩いた聖岳の尾根。
下のほうに、聖平小屋が見えた。




この尾根の登りもきつくないはずだが、なぜか体が重い。
気分も投げやりになっていて楽しくない。


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南アルプス南部主脈縦走~その19

危険だと登山地図に書いてあったヤセ尾根も、これといった事は無くほどなく小聖岳頂上に着いた。あたりは少し曇り勝ちになってきた。
ここから少し先に樹林帯への入口があり、見晴らしが利く場所もここまで。
聖岳の左半分を見ると、岩だらけの巨大で垂直に近い斜面が圧倒してくる。






上河内岳。画像右下に木道が渡された草原が見える。
これが聖平だ。
あと少し。





樹林帯に入ると、静かな林の中に黄色と紫色のお花畑が広がっていた。
揚羽蝶が数羽毎のグループに分かれて、ひらひら舞っている。
妖精を見ているようだ。




聖岳の厳しさとは対照的な、突然現れた穏やかな楽園。
しかもこの楽園は、聖平に着くまでの間、明るい草原状の形で次々に現れ、私の心はすっかりなごんでしまった。




聖平までの間、楽しい気分で山を降りた。
ただし途中行き交った、これから聖岳に登る人は、とてもそんな気分ではなさそうだった。


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南アルプス南部主脈縦走~その18

体調を崩す前に下山する。
岩だらけの大斜面はガスに包まれて先が見えない。
とにかく急で、どこまでも下に続いている。





後を振り返ると、聖岳の頂上部が覆い被さらんばかりに立ち上がっている。
これを登る人は気の毒だ。




聖の大斜面も終わりに近づいてきた頃、突然ガスが晴れ、聖平に続く大パノラマが眼前に広がった。
あまりの見事さに、しばし見とれる。
聖から続くヤセ尾根に小聖岳、その先数箇所には小さな平、そして聖平らしき草原。
その奥には明日登る上河内岳が聳えている。
小聖の頂上には人がいるようだ。




ヤセ尾根に向う。
すぐ脇に水場があったが、飲む気力がなかった。
今日で5日目、とにかく前に進みたい。




最大の難関である聖岳をクリアして安堵感が広がっていた。
小聖の頂上にいた人達が息を切らせながら近づいてきて「水場はどこ?」と尋ねてきた。


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南アルプス南部主脈縦走~その17

いよいよ登りに取り掛かると、赤い岩場のどこから登ってよいのかわからぬ地点に来た。
思い切ってガレの直登を選んだが、確実な足場もホールドも無い事に気づき、上方の赤い石を頼りに力任せに這い上がった。赤い石が外れたらとんでもない事になっていたかもしれない。疲れて冷静な判断力を失いかけているようだ。
林の中のコルからシラカバ帯、ハイマツ帯とひたすら登り続ける。
画像は登路を振り返ったところ。右上が兎岳。




音をあげそうになって、頂上から降りてきた男に、あとどれくらいで着くか聞いてみた。
すると「すぐそこですよ」との答え。
嬉しくなって「ありがとうございます」と返事して、歩きつづけるが頂上は中々見えない。
いいかげんな答えだと腹を立てていると、山の陰からひょっこりと頂上が現れた。




頂上に着いた。
とにかく風が強く、体温が奪われる。
風の当らない岩陰に身を潜めた。




山頂からのパノラマ。
通常のサイズに伸ばして見てください。
昨日からの道程が一望のもと見渡せる。
右から赤石岳~百間平~赤くポツンと百間洞山の家~中盛丸山~小兎岳~兎岳。








今日も富士山とご対面。


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