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1998年8月

北アルプス不帰キレット・橋流失で帰れず~その6

五日目。
天気雨。
6時過ぎに幾人かが材木を持って杓子沢に下りていった。
7時前に、私を含め更に幾人かがそれぞれ材木を持って出発した。
途中、戻ってくる先発隊とすれ違った。
「沢が渡れるぞ!」と口々に言っていた。
安堵の気持と共に、半ば拍子抜けした。





杓子沢に着くと、既に真新しい橋が架かっていた。
沢は見た目は幅が狭くて橋がなくても渡れそうな気がするが、流れが速いので落ちたら下の雪渓まで流されかねない。




持ってきた材木で、橋が流されないように補強する。
小屋のじいさんが「ありがとネ」と言ってくれたのが嬉しかった。





橋を渡って杓子沢を振り返る。
小屋の客が続々と渡ってきていた。
昨晩の小屋では、客の思いはこの橋に集中していた。






猿倉への長い下り道。
大きなミミズとヒルが格闘していた。

目的は果たせなかったが、面白い山旅でした。


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北アルプス不帰キレット・橋流失で帰れず~その5

四日目。
今日も雨。
小屋番によると今後の天気も期待できないそうだ。
意を決して7:10、白馬鑓温泉に下る。くやしいが仕方が無い。
稜線に出ると、西側からの暴風雨が待っていた。東側はガケなのでそちらに飛ばされないよう注意する。寒さで体力が奪われる。これでは白馬岳行きは無理。諦めがついた。
白馬鑓温泉への分岐に着いて、稜線から東側に降りると風がなくなりほっと一息入れた。
お花畑がある大出原では、ほんの少しゆったりした気分になれたが、雨に打たれて休むのも侘しくてすぐに歩き始めた。
やがて想像を絶する光景に出くわした。岩場の長いトラバース。雨水が流れ落ちて滝になっている。鎖をつかむと雨水で滑りそうだ。一箇所足場が無い所があって生きた心地がしなかった。
辺りは雨で一変していた。何でもないガレ場が濁流の沢になり岩からは鉄砲水。

白馬鑓温泉に着いたときは心底ほっとした。
戸を開けると、中にいた人々は、漬物樽に入った白菜のような、ずいぶんと昔からそこにいるような風情を漂わせていた。
それもそのはず、ここから下の沢の増水で橋が流されて帰れなくなっていたのだ。
昨日天狗山荘を出たおじさんもいた。
暫らく後、カップルも天狗山荘から降りてきた。
夜の小屋では、明日も雨、という天気予報に皆一様にがっかり。
いいかげん帰らないと困る人が何人もいるのだ。
で酒を呷りながらグチをこぼし合う。




温泉に入れるのがここの良い所。





日本第三位の雲上の高所温泉。
天気が良ければ絶景だったが。


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北アルプス不帰キレット・橋流失で帰れず~その4

三日目。
朝から土砂降り。
様子見していた他の宿泊客は11:00頃、唐松岳や猿倉に向けて出発した。
私は晴天下での白馬歩きにこだわり、停滞する事にした。
午後、カップルが到着した。
見ると少し動揺しているようだ。
少し下の白馬鑓温泉から上がってきたとの事だが、途中の鎖場で宙ぶらりんになり、尾根では暴風で吹き飛ばされそうになったとの事だった。
出発しなくてよかった。



何もないので、小屋の食事画像。
中々充実している。




こちらは昨日の晩。


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北アルプス不帰キレット・橋流失で帰れず~その3

二日目の続き。
不帰Ⅱ峰北峰の壁を降りる。
最初見たときは降り方が解らず不安になるが、
ルートが解れば問題なく降りられる。




降りてます。




不帰Ⅱ峰北峰全景。
手前の壁を登降する登山者が見える。




不帰Ⅱ峰北峰の後は危険な所もなく、
不帰Ⅰ峰をひと登りして下りた所が不帰キレット。
危険地帯を越えて一安心だったが、実はここからがきつかった。
天狗の大下りと呼ばれる長大な斜面を登ると言う、うんざりする仕事が待っていた。
急な登りもこれで終わりか、と思うと次々とまた現れる。
途中から一時間に一回の休みのペースも守れなくなった。
ただただ前に進むとようやく天狗の頭に着いた。




天狗の頭からは深い霧の中をゆるやかに下っていく。
ひょっこりと天狗山荘が現れた。
気温は低めで休むと寒くなってきた。
昼食の後、先に進むかどうか迷ったが、後2時間半登れば白馬岳頂上に着く。
頑張って行こうと考え歩き始めたら、雨が降り始めた。
たちまち気持が萎えて、天狗山荘に泊まってしまう。
泊まっているのは、お盆だというのにわずか5人。
同宿の登山者と山の話をしているうちに夜が更けていった。


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北アルプス不帰キレット・橋流失で帰れず~その2

二日目

八方尾根を唐松岳目指して歩き始めるが、どうもやる気が出ない。
天気も悪そうだし、歩いているのは私一人だ。
写真は後立山連峰、五竜岳と鹿島槍ヶ岳。




予定より早く唐松山荘に着いた。
嬉しくてやる気が出てきた。
やる気が出ない時は、動くのが得策。
写真は唐松岳(2696m)。
頂上に着いたが、休息もそこそこに気が変わらない内に不帰(かえらず)の険に向けて下降。




下るとすぐに黒い岩峰が現れ、不帰の険にさしかかった事を知る。
今回の旅は不帰(かえらず)の険から始まって親不知(おやしらず)で終わるなんて、なんかかっこいいなあ、などと下らない事を考えていると、辺りの様子は少しずつ険しくなり、ちょっとした鎖場が現れる。




不帰のⅢ峰、不帰Ⅱ峰南峰を超えて、不帰Ⅱ峰北峰へ。
突然頭上にヘリが現れてびっくり。爆音がうるさいし、緊張する岩場の近くで飛ばないでくれ~!でも落ちてもすぐ発見されるから安心かも。




不帰Ⅱ峰北峰のピークを超えたが危険な場所が中々出てこないな、と思っていると、突然深い谷に架かった手すりの無い小さな橋が現れ、その後すぐに垂直の壁。不帰の険の核心部分だ。

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北アルプス不帰キレット・橋流失で帰れず~その1

一日目

長野県北アルプス白馬八方尾根。リフトの終着点、八方池山荘に着いた。
今回、八方尾根から白馬岳を経て5日間で日本海の親不知まで踏破するという計画は、今朝の寝坊で早くも窮地に。
今からでは唐松山荘に着くのは19:00近くか。既に歩く気合もなく、八方池山荘に泊まる事にした。明日、白馬岳手前の天狗山荘に着けば何とかなるさとうそぶく。


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